突然、社長から「社歌を作りたいんだが・・・」と言われたら、さすがに最初は困りますよね。
社歌なんてどうやって作るんだ?
そもそもいくらくらいかかるものか?
誰に頼めばいいのか?
今回はそんな方に社歌制作の基本的なことをお教えします。
1.社歌とは?
社歌といえば、朝礼のときにみんなで歌うもの、という従来のイメージがあります。
でも最近は、「社員が聞いて元気を出す」応援ソング的なものや、「自社の考え方やスタンスを広くいろんな人に聞いてもらう」イメージソング的なものなど、さまざまな社歌が登場してきています。
ですから社歌はこういう曲でなくてはいけない、歌詞はこうであるべきだ、という概念は必要ないと思います。
ちなみに社歌制作のきっかけということでは、「今年〇〇周年を迎えるので、その記念に」という周年記念をきっかけとしたものが多く、続いて社長や創業者の方の発案によることが多いようです。
また、社歌の主な活用ということで言うと、「式典において歌唱」が最も多く、全体の60%近くを占めていますが、上記にも記したように、最近では「社歌というよりは対外的なブランドソングとして楽曲を制作し、イベントや商品販売コーナーなどで流す」「社員研修の一環として社歌を制作した」などの活用や「ショールームでイメージソング的にお客様や社員に聴いてもらうために歌うより聴くことを重視して制作した」といったものもあります。
2.社歌の制作方法
では実際に社歌を制作する方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
以下にその方法を記します。
2-1. 社内で制作する
これが最も費用のかからない方法です。
歌詞や楽曲を制作できる社員の方を見つけ出し、その方に依頼して制作する。
最近はDTM(デスクトップミュージック)といって、パソコン上で音楽を作ることが比較的容易になってきたので、多くの方が楽曲制作に取り組んでいます。
もし社内にそういった方がいらっしゃれば相談してみるのもひとつの方法です。
2-2. 社歌の制作会社に依頼する
専門の制作会社に依頼するのは、最も安心でスムーズな方法です。
最近は社歌を専門に制作する会社も増えてきたので、ネット上で「社歌制作」と入力すればいくつかの会社が出てきます。
そういった会社に相談し、どのように制作していくのかを聞いたうえで依頼していくのが、安心な方法といえます。
2-3. 音楽制作会社に依頼する
社歌専門ではなくとも、音楽制作をしている会社はたくさんあります。
この方法も社歌制作会社に依頼するのと同様、スムーズなやり方です。
ただ、音楽制作会社の場合には、それぞれの得意な音楽ジャンルがあるので、その会社のWEBサイトで実績楽曲などをチェックして、作ろうとしているジャンルに近いかどうかを調べると良いでしょう。
2-4. 作詞家・作曲家に依頼する
この方法はやや難易度が高いやり方です。
著名作家さんであればあるほど、スケジュールや費用面においてハードルは高くなります。
また、求める作家さんを決定し、その作家さんが所属する事務所を探し出し、そこに交渉をしていかなくてはならないので、少し難しいやり方だと言えるでしょう。
3.社歌制作に必要なこと
社歌というひとつの楽曲を作り、みんなで聞けるようにする、あるいは歌えるようにするために必要なことはどのようなことでしょうか?
それを見ていきましょう。
3-1. 作詞
通常楽曲の制作には、「曲先(きょくせん)」と呼ばれる曲を先に作って、その曲に歌詞を乗せる、というやり方と「詞先(しせん)」と言われる歌詞が先にくる二つのパターンがあります。
社歌制作の場合は、その歌詞に会社の理念や姿勢などが込められるので、まずは歌詞を先行させる「詞先」のやり方が多いようです。
社歌制作において、その発注者である企業が関わりやすく意志がダイレクトに反映しやすいのは、この歌詞の部分です。
社歌の中には、経営者や役員、社員などの作詞によるものも多くあります。
社歌制作の作詞作業においては、補作詞というケースもあり、経営者や社員が作った歌詞をプロの歌詞が整えていく、という方法も少なくありません。
また、歌詞にはいたらなくとも、自社を表すキーワードを社員から公募し、それをプロの作詞家に提供して歌詞を制作していく、というプロセスをとる企業も多くなってきています。
さらに、社員の中からメンバーを選抜して、社歌制作プロジェクトを発足し、キーワード公募や歌詞作り、楽曲選定までプロジェクトですすめていく手法も最近はスタンダードになっています。
3-2. 作曲
次に作曲です。
社歌の曲調として、従来はマーチやクラッシクなどのオーケストラ調のものが主流を占めていましたが、最近はPOP調のものも増えてきています。
最近、社歌を制作された企業40社のデータを見てみると、オーケストラ調とPOP調の割合は五分五分になっています。
社歌制作の場合、順番で言うと「詞先」のケースが多いですが、作曲と作詞は歩調を合わせることが必要になります。
なぜならどのような曲調にしたいか、によって歌詞の雰囲気も変わってくるからです。
例えば「青い空はるかに飛び立つわれらの・・・」というような歌詞にPOP調の曲調は似合いません。
作曲は歌詞制作の後になるとしても、おおまかな曲調に関しては、作詞前に決めておいた方が良いでしょう。
そして、いよいよ作曲ですが、社内で作曲できる方がいない限り、プロの作曲家に任せることになります。
作曲家の方もさまざまなジャンルがあり、著名な方から一般的には名前を知られていないものの、著名歌手への楽曲提供をされている方、CM音楽などを手がけている方、ゲーム音楽などを手がけている方など、日本には多くの作曲家がいらっしゃいます。
社歌制作において一般的に多いのは、オーケストラ系の曲調の方で言うと、ゲーム音楽やCM音楽などを手がけている方やオーケストラなどで楽器演奏をされていて作曲や編曲をされている方で、POP系の方は自分で音楽活動をされている方や歌手への楽曲提供をされている方たちです。
作曲家選定に関しても、社歌制作会社や音楽制作会社などと相談しながらすすめていくのが良いと思います。
社歌制作会社などでは、作詞や作曲に関して、いくつかの楽曲案を提出してくれるので、そこから自社に合った楽曲を選択し、微修正を加えていく、というプロセスになります。
ここでひとつ留意点がありますが、作曲と編曲について、です。
一般的に作曲は主旋律となるメロディーを作ることで、そのメロディーに主旋律以外の旋律を加え、いわゆる「曲」の形にしていくことが編曲です。
例えば、ドラムの音やキーボードの音など、さまざまな楽器の音を加えて楽曲に幅を持たせる作業が編曲なのです。
社歌制作会社では、楽曲案の提出に際しては編曲込で提案しますが、社員の方に作曲をお願いしたときなどは、編曲をプロに頼み、楽曲として仕上げていく、というプロセスが生じることもあります。
プロの編曲家(作曲家が編曲をすることも多い)が編曲をし、さまざまな音をPC上で加えて(DTM)、ボーカルを吹き込む前のカラオケの状態に仕上げていくのです。
特にオーケストラ調の曲でDTMの音では物足りないといった場合は生演奏をすることになりますが、その際は演奏者へのギャランティや収録するためのスタジオ費などが別途必要となってきます。
3-3. 楽曲のボーカル収録
さて、曲ができると、ついにボーカルの収録です。
ボーカリストの選定も重要なポイントですね。
例えば、男性ボーカルにするのか、女性ボーカルにするのか、あるいは規模が大きくなると混声合唱で歌うというのもあります。
一般的にはオーケストラ調の曲調ですと、合唱や2人以上のハーモニーが合い、POP調では、単独ボーカルもしくは2~3名くらいでのボーカルが似合います。
これも社歌制作会社などに依頼すれば、その楽曲に合ったボーカリストや合唱団を提案してくれます。
ボーカルの収録はボーカルスタジオで行います。
ボーカルスタジオも単独ボーカルの収録スタジオから10名を超える合唱団の収録スタジオまでさまざまです。
収録の際には制作を依頼したクライアント側も立ち会って、最終のチェックをします。
その際に「もっと明るい感じで」や「もう少し静かに聴かせる感じで」などクライアント側からの要望も出すことができます。
そして無事、収録が済むと、スタジオでは音質や音量の調整をするミックス作業が始まります。
これは通常クライアント側が立ち会うことはありませんが、楽曲をきれいに仕上げるために重要な作業です。
4.社歌の完成データと使い方
完成した社歌の楽曲データは、CDやDVDの形で納品されます。
一般的にはスタジオでミックスされた原盤のオーディオデータ、とそれをコピーした何枚かのオーディオデータ、それにPCなどに保存しておくためのWAV形式やMP3形式のデータがそれぞれCDなどで渡されます。
そのうち原盤データは元となるデータですから、しっかりと保存しておきましょう。
社内で使う場合には、コピーされたオーディオデータをCDプレイヤーなどで再生して使います。
またWAV形式やMP3形式のデータは、関係者何名かのPCや会社共通のサーバーなどに保存しておくと、原盤が見当たらないなどの場合に便利です。
楽曲データの内容としては、ボーカル入りのものとカラオケデータが納品されます。
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